2.その前に腸(小腸・大腸)の働きを知ろう


【小腸】
小腸は、十二指腸、空腸と回腸の部分からなる消化管です。

空腸は十二指腸から続く部分で小腸の5分の2を占め、

回腸はそれに続く5分の3を占めています。


空腸と回腸という分け方は解剖学上のもので構造的な違いはほとんんどなく、

その役割は通過する食物の栄養分を吸収することです。


小腸の構造はひだが多く、絨毛におおわれています。

 

絨毛の表面は吸収上皮という組織になっていて、

これらが食物の栄養分を吸収します。

 

そして吸収された栄養分は毛細血管やリンパ管を通って門脈血管、肝臓へと運ばれていきます。


また、腸は栄養だけでなく免疫にも関係していることがわかってきました。

 

消化管というのは体の中にあるにもかかわらず外界からの栄養物を取り込んで摂取するため、

病原菌や毒素等、いろいろな有害物質にさらされる危険があります。

 

また、腸は無数の腸内細菌が生息するという環境にあることから、

最近なって単に栄養を吸収するだけでなく人間の免疫機能を保つのに

きわめて重要な役割を果たしていることがわかってきました。


免疫機能で重要な役割を果たすリンパ球細胞の中に

病原菌などの有害な物質が入ってきたときに、

抗体を合成・分泌するB細胞があり、

このB細胞の70%以上が小腸に分布しているといわれ、

腸の粘膜の表面はlgAと呼ばれる免疫抗体によっておおわれて防御されています。


【大腸】
大腸は、盲腸、結腸、直腸の三つの部位からなっています。

大腸の役割は、小腸で栄養分を吸収された残りから食物繊維や水分、ミネラルを吸収し便にすることです。 


大腸の構造は(結腸)ふくらみのある蛇腹状なっており、

外側には結腸ひもとよばれる縦のスジが3本ついていて、

蛇腹状の結腸を保持しています。

 

内側は粘膜組織でひだ状になっており、

粘膜には腸腺という組織があり腸液を分泌しています。

この腸液のおかげで消化物がスムーズに結腸を通っていきます。

(余談)便の色はなぜあの色(茶褐色)なんでしょうか?

 

小腸から大腸に送られてきた食物のカスは、

消化されない食物繊維とからめて固形の便が作られます。

 

なお、便の色のもとになっているのは十二指腸で

混ざる胆汁の中のビリルビンという黄色い物質で、

これが腸内細菌の働きで褐色のウロビリンという物質に

変わり茶褐色の便の色になります。

 

したがって、

何かの原因で胃腸から出血すると便の色がどす黒くなり、

鮮血に近い色だと結腸や直腸、肛門からの出血の恐れがあります。

 

このことから、便の色は健康のバロメーターになります。